【愛犬にアルカリイオン水】良いの?悪いの?メリット・デメリットを徹底解説します

【愛犬にアルカリイオン水】良いの?悪いの?メリット・デメリットを徹底解説します
chico vol.01 創刊号
愛犬のウェルネスをまじめに考える

「愛犬の健康を考えると、毎日の食事や運動はもちろん、飲むお水にもこだわりたい」と感じる飼い主さんも多いのではないでしょうか。

最近、耳にする機会が増えたアルカリイオン水。「うちの子にあげても本当に大丈夫なのかな?」と、気になっている方もいるかもしれません。

人間にとっては、胃腸の調子を整えるなどの効果が期待されているアルカリイオン水ですが、ワンちゃんにとってはどんな影響があるのでしょうか。

この記事では、アルカリイオン水の基本的な知識から、愛犬に与えるときのメリット・デメリット、そして適切な与え方まで詳しく解説します。

愛犬の健康を守るために、一緒に正しい知識を身につけていきましょう。

アルカリイオン水とは?犬に与える前に知っておきたい基礎知識

アルカリイオン水は、水道水を電気分解して作られる特殊な水です。愛犬に与える前に、その性質や特徴を正しく理解しておくことが大切です。

単に「健康に良い」というイメージだけで与えるのではなく、基本的な知識を身につけましょう。

アルカリイオン水の基本性質

アルカリイオン水は、私たちが普段使っている水道水などを専用の機械(整水器)を使って電気分解し、少しだけアルカリ性に傾くようにしたお水のことです。

アルカリイオン水は、酸性やアルカリ性の度合いを示すpH(ペーハー)が普通の水よりも少し高いのが特徴です。

アルカリイオン整水器は、厚生労働省により胃腸症状改善効果が認められています。慢性下痢、消化不良、腸内環境不良、胃酸過多、便秘などの改善に有効であるとされています。

人間用とペット用の違い

最近では「ペット用アルカリイオン水」も見かけるようになりました。ペット用アルカリイオン水は、犬や猫の体質や生理学的特性に合わせて調整されており、人間用のものよりもペットにとって負担が少ないと考えられます。

愛犬の健康を第一に考えるなら、専用に開発されたペット用のアルカリイオン水を選ぶことが安心と言えるでしょう。

ただし、アルカリイオン水は、犬や猫などのペットに対する効果については十分な研究がなされていません。必ずしも健康効果があるとは言い切れないことは理解しておくと良いでしょう。

水道水や一般的なミネラルウォーターとの違い

水道水のpH値は厚生労働省の基準により5.8~8.6と定められており、基本的には中性(pH7)付近に調整されています。ミネラルウォーターも水道水と同様にpH値が5.8以上8.6以下と定められています。

これに対して、家庭用の整水器で作られるアルカリイオン水はpHが8.5~9.5程度。水道水やミネラルウォーターと比べるとアルカリ性に近い性質を持っています。

ただし、家庭の整水器で作ったアルカリイオン水は、空気に触れることで時間が経つと性質が変わりやすいため、できるだけ作りたてを使うことが勧められています。

愛犬にアルカリイオン水を与えるメリット

アルカリイオン水を愛犬に与えることでメリットが得られると期待する方も多いです。ここでは、アルカリイオン水のメリットについて解説します。

胃腸の不快な症状を和らげる?

無色無臭のアルカリイオン水は、添加物を含まないため、愛犬の体への負担が少ないのが大きな魅力です。デリケートな体質のワンちゃんでも安心して飲める水として、愛犬家の間で注目を集めています。

ネットでは、「お水をアルカリイオン水に変えたら、下痢が少し気にならなくなったかも?」といった飼い主さんの声を耳にすることもあります。しかし、全てのワンちゃんに同じような効果が見られるとは限りません。

人間の場合、アルカリイオン水は胃の不快な症状を和らげたり、お通じを整えたりといった効果が期待されています。しかし、ワンちゃんへの効果については、科学的に分かっていないことが多いのが実情です。

愛犬のボディケアに使える

アルカリイオン水は、ワンちゃんのボディケアにも活用できるのが嬉しいポイントです。

お散歩後の足裏の汚れ、目ヤニやよだれ焼けのお手入れ、排泄後のお尻周りの拭き取りなど、気になる部分を優しく拭くだけで清潔に保ちます。刺激が少ないため、敏感な部分にも安心して使えます。

ブラッシングスプレーとして使用すれば、被毛のもつれや静電気を防ぎ、毛並みを整えることも可能です。継続的な使用で、被毛一本一本に潤いを与え、本来の美しいツヤと輝きを引き出すという声も。なめらかな手触りを実感できるでしょう。

汚れをスッキリと落としながらも、皮膚に必要な皮脂は奪いすぎません。デリケートな皮膚のワンちゃんや、乾燥しがちな季節のケアに特におすすめです。

消臭・除菌効果もある

飲用のアルカリイオン水とは別に、強アルカリ性電解水や微酸性電解水など、特定の種類の電解水は、ペット用品の除菌や消臭に使用できます。

気になるニオイの原因となる汚れや、目に見えない雑菌を減らす効果が期待できると言われています。ワンちゃん特有のニオイが気になる場所に、拭き掃除などで使うと、化学的な成分に頼らない優しいケアができるでしょう。スプレーボトルに入れて、ワンちゃんのベッド周りや愛用のおもちゃなどにシュッとひと吹きするのも便利です。

アルカリ性の度合いが強いタイプの電解水の場合、使う場所の素材によっては色が変わってしまったり、傷んでしまったりすることもあるので注意しましょう。

初めて使う場所には、まず目立たない隅っこで少し試してみてから、全体に使うようにすると安心です。

愛犬にアルカリイオン水を与える際の注意点・デメリット

愛犬の健康を考えてアルカリイオン水を選ぶ飼い主さんもいます。しかし、与える際には注意が必要です。

犬種や体質、健康状態によっては向かない場合もあるため、以下の注意点やデメリットを知っておきましょう。

結石リスクの可能性

アルカリイオン水を続けて飲むことで、ワンちゃんのおしっこがアルカリ性に傾くことがあるようです。よほど大量に毎日与え続けるのでなければ、おしっこのpHが急に大きく変わることは少ないとされています。

しかし、ワンちゃんの体質によっては、結石症(おしっこの中に石ができやすい状態)になる可能性もゼロではないかもしれません。

以前に結石ができたことがあるワンちゃんの場合は、より慎重に判断しましょう。

マグネシウムやカルシウムといったミネラルの量が多いものや、アルカリ性の強いお水は、結石のリスクを高める場合があるので注意が必要です。ミネラルは体に必要ですが、何でも摂りすぎは禁物。バランスと適量を守ることが大切です。

与え方の注意点

一番大切なのは「少しずつ慣らす」こと。ワンちゃんも初めての味や性質のお水には戸惑うかもしれません。最初はほんの少量からスタートしましょう。いきなりお水を全部アルカリイオン水に切り替えるのではなく、いつものお水に少しずつ混ぜて、様子を見ながらゆっくりと慣らしてあげるのがおすすめです。

ワンちゃんの飲みっぷりや体調(便の状態、元気があるかなど)に変化がないか、注意深く観察しながら、数日から1週間程度の時間をかけて、少しずつアルカリイオン水の割合を増やしていくのが理想的です。

家庭用整水器の規格では、生成されるアルカリイオン水のpH上限値は一般的にpH10程度とされています。これを超えるようなアルカリ性が強すぎるお水は、ワンちゃんの胃腸に過度な負担をかけてしまう可能性があるので注意しましょう。

向かない可能性のある犬

消化器官が未発達な子犬や、消化機能が低下しているシニア犬は、お水の変化に敏感な場合があります。腎臓病や心臓病などの持病がある場合には、特に注意が必要です。お水のpHが変わることで、体に思わぬ影響が出てしまうことも考えられます。

お薬を飲んでいるワンちゃんも気をつけましょう。アルカリイオン水がお薬の吸収や効き目に影響してしまう可能性もゼロではないからです。治療と向き合っている大切な時期には、自己判断はせずに、必ず獣医師さんの指示を仰ぐようにしてください。

ワンちゃんの体質によっては、残念ながらアルカリイオン水が合わないこともあります。

もし飲ませてみて、お腹をゆるくしたり吐いてしまったり、何かいつもと違う様子が見られたら、すぐに与えるのをやめて、元のお水に戻してあげてください。

まとめ

アルカリイオン水は、人間にとっては胃腸の調子を整えるなどの良い効果も期待できるものですが、愛犬に与える場合には気をつけてあげたい注意点もあります。「ワンちゃんの体にも良いはず!」と過度な期待は禁物です。

もし試してみる場合は、焦らず、愛犬の様子をじっくりと見守りながら、慎重に進めていくように心がけましょう。腎臓や胃腸に持病のあるワンちゃんや、普段からお薬を飲んでいるワンちゃんの場合は、アルカリイオン水を与える前に、必ずかかりつけの獣医師さんに相談してください。

もし、今回のアルカリイオン水の話だけでなく、ワンちゃんのお水のことや日々の健康管理について、「もっと詳しく知りたい」方は、当サイトでご紹介している他の記事もぜひ読んでみてください。

また、『Chico』雑誌版でも、飼い主さんとワンちゃんのためになる様々な情報をお届けしていますので、手に取っていただけると嬉しいです。

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