愛犬にいちごを与えても大丈夫だろうかと、気になっている飼い主さんは多いのではないでしょうか。実は、いちごは適切な量と下処理をすれば、犬にとって安全でヘルシーなおやつになります。ビタミンCやアントシアニンなどの栄養素を含み、ワンちゃんの健康維持にも役立つ果物なのです。
しかし、与え方を間違えると健康トラブルの原因になることも。この記事では、犬にいちごを与える際の適切な下処理方法や、体格別の適量、注意すべきポイントについて詳しく解説します。愛犬といちごの美味しい関係を安全に楽しむためのポイントをまとめました。
犬にとってのいちごとは?

ワンちゃんにとって、いちごはどんな果物なのでしょうか。そもそも安全に食べられるのか、どんな栄養があるのか、気になるポイントを見ていきましょう。
愛犬のためにいちごを選ぶなら、新鮮で傷みのないものを選ぶことが大切です。人間と同じように、犬も質の良い食べ物から栄養を摂ることが健康維持につながります。
犬にとっていちごは基本的に安全な果物
いちごは基本的に犬が食べても問題なく、適量であれば安全に与えられます。甘くてジューシーないちごは、多くのワンちゃんが喜んで食べる果物です。ドッグフードだけでは物足りない時の特別なおやつとしてもぴったりです。
いちごにはビタミンCやアントシアニン、食物繊維など健康維持に役立つ栄養素が豊富に含まれています。これらの栄養素は、犬の免疫力向上や消化機能の改善にも役立ちます。鮮やかな赤色は天然の色素で、体に優しい食材です。
初めて与えるときは、アレルギー反応に気をつけて、少量から試してみるのが安全です。ワンちゃんも人間と同じように、食べ物に対してアレルギーを持っていることがあります。
皮膚の変化やお腹の調子をよく観察し、安全を確認しながら進めましょう。
いちごに含まれる栄養成分と愛犬への嬉しい効果
ビタミンCには、免疫力を高めたり、コラーゲンの生成を助けたり、ストレスへの抵抗力をサポートする働きがあります。シニア犬は体内でのビタミンC生成量が減ってくるため、いちごを少量を与えることで補えます。
アントシアニンは、強い抗酸化作用を持つ成分で、目の疲れをやわらげたり、老化を防ぐ働きがあります。赤い色素に含まれるこの成分は、活性酸素から体を守ってくれるため、ワンちゃんの健康や長寿にも一役買ってくれるでしょう。
水溶性食物繊維の一つであるペクチンは、腸内環境を整える働きがあり、血糖値の急上昇を抑えたり、便秘の改善にも役立ったりします。ドッグフードだけでは不足しがちな食物繊維を補うことで、腸内フローラのバランスが整い、健康的なお腹の状態を保ちやすくなります。
いちごに含まれる注意すべき成分と体への影響
いちごにはキシリトールが含まれていますが、過剰摂取しなければ心配ありません。
ただし、お菓子などに使われている人工のキシリトールは犬にとって有毒なため、しっかり区別することが大切です。
ほかには、シュウ酸も含まれており、食べ過ぎると結石の原因となることもあります。特に、腎臓に持病のある犬は注意が必要です。シュウ酸カルシウムは尿路結石のもととなり、腎機能に負担をかけることもあります。持病がある場合には、事前に獣医師に相談しましょう。
いちごはバラ科の果物なので、りんごや桃にアレルギーがある犬は、いちごにも反応する可能性があります。かゆみや赤み、腫れ、下痢や嘔吐といった消化器の症状が出ることもあるため、食べた後は様子をよく観察しましょう。
犬にいちごを与える前に知っておきたい下処理のコツ

いちごを愛犬に与える前には、正しい下処理が欠かせません。ヘタを取り除き、しっかりと洗浄したうえで、愛犬の体格に合わせて適切な大きさにカットしてあげましょう。
ほんのひと手間をかけることで、いちごは安心して与えられるおやつになります。愛犬の健康と安全を守るためにも、丁寧な下処理を心がけてください。
ヘタの取り方と正しい洗い方
ヘタは硬くて消化に悪いため、与える前に必ず取り除きましょう。ヘタが残っていると、下痢や嘔吐の原因になるだけでなく、喉に詰まるおそれもあります。
また、いちごには残留農薬や汚れが付いていることもあるので、与える前に水でしっかり洗い流しましょう。特に、市販のいちごは防腐剤や農薬が使われている場合もあるため、念入りな洗浄が必要です。安全を第一に準備してあげてください。
洗浄時は流水で丁寧にすすぎ、表面に付いた汚れや農薬を落とすことが大切です。表面のくぼみに汚れが残りやすいので、指の腹で優しくこすりながら洗うとより効果的です。清潔ないちごで、ワンちゃんの健康を守ってあげましょう。
喉に詰まらせない切り方
犬にいちごを与えるときは、犬種や体格に関わらず、丸呑みによる喉詰まりを防ぐために、食べやすい大きさに切り分けます。特に、食べ物をあまり噛まずに飲み込んでしまうタイプのワンちゃんには、十分な注意が必要です。
小型犬は喉が狭いため、細かく刻んだり、すり潰して与えたりするとより安心です。チワワやトイプードルのような超小型犬には、いちごを1/4サイズに切るか、フォークで潰して与えるのがおすすめです。これにより、喉に詰まるリスクをぐっと減らせます。
いちごを薄くスライスしたり、細かく刻んだりするだけでも、安全性は高まります。ちょっとした工夫が、安心につながります。
楽しく、美味しい時間を過ごせるように、下ごしらえにも心を配りましょう。
いちごを使った犬用おやつの作り方
砂糖を使わずに作るいちごソースは、シンプルにいちごを潰すだけでもおいしく、トッピングにぴったりです。風味づけに少量のレモン果汁を加えるソースのレシピもありますが、酸味が気になるワンちゃんもいるため、体調や好みに合わせて無理のない範囲で試してみてください。
レモンの与え方についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください 。
また、冷凍いちごを使えば、いちごの鮮やかな色合いを保ちながら、おやつ作りに活用できます。冷凍保存することで栄養素の損失を抑えられ、長期保存もできます。旬の時期にまとめて買っておくと、いつでも手作りおやつに使えて便利です。
冷凍いちごは、暑い時期だけでなく、通年使えるのも嬉しいポイント。特に夏場には、ひんやりとしたおやつとして涼を感じられるのでおすすめです。愛情を込めた手作りおやつで、ワンちゃんとの特別な時間を楽しみましょう。
犬にいちごを与えるときの適量と気をつけたいポイント

いちごは栄養豊富で健康によい食材ですが、与えすぎには注意が必要です。ワンちゃんの体格や健康状態に合わせて、適量を守ることが大切です。
あくまでおやつの一つとして、メインの食事に影響しない程度にとどめましょう。日々の食生活とのバランスを考えながら与えることが、愛犬の健康につながります。
体の大きさに合わせた適量の目安
1日の目安量は以下を参考にしてください。
- 超小型犬(4kg未満)・・・中粒いちご1/2個ほど
- 小型犬(10kg以下)・・・1個程度
- 中型犬(25kg未満)・・・2個程度
- 大型犬(25kg以上)・・・3個程度
チワワやヨークシャーテリアなどの小さな犬種は、特に少量から始めて、消化の様子を見ながら与えましょう。ゴールデンレトリバーやラブラドールのような体格の大きな犬でも、いちごの与えすぎは消化に負担をかけることがあるため、適量を守ることが大切です。
いちごは約90%が水分で、100gあたりのカロリーも約30kcalと低めですが、おやつは1日の総カロリーの10%以内に抑えましょう。
他のおやつと合わせた分量にも気をつけながら、バランスの良い食事管理を心がけてください。
与えすぎに注意!いちごが引き起こす健康トラブル
いちごは水分と食物繊維が多く含まれているため、食べすぎると下痢や軟便、消化不良を引き起こす可能性があります。特に消化器系が敏感なワンちゃんは、少量から始めて様子を見ながら与えることが大切です。急な食事の変化は、思った以上に胃腸に負担をかけてしまうこともあります。
また、いちごジャムなど加工品には砂糖が多く含まれており、肥満や糖尿病のリスクを高める可能性があるため避けたほうが安心です。人間用に作られた加工食品には、犬にとって適さない添加物や調味料が含まれていることも多いので、生のいちごを適量与えるのが一番安全です。
健康状態別のいちごの与え方
腎臓や心臓に疾患がある犬は、カリウムが体に蓄積しやすく、不整脈などのリスクを伴うことがあります。こうした持病がある場合は、いちごを与える前に獣医師に相談することが大切です。体調に合わせた食事管理は、愛犬を守るうえで欠かせません。
シニア犬は年齢とともに消化機能が落ちてくるため、いちごを与える場合は少量から始めて様子を見ましょう。特に7歳以上の犬は徐々に消化能力が落ちてくるので、より細かく刻んだり、すり潰したりするなどの配慮が必要です。
子犬は消化器官が未熟なため、いちごは小さく刻むか、柔らかく潰して与えるとよいでしょう。
新しい食材は慎重に対応し、体調や便の様子をこまめにチェックすることが大切です。
まとめ

いちごは、適切な下処理と適量を守れば、愛犬にとって安全で栄養豊富なおやつです。ビタミンCやアントシアニンといった抗酸化成分は、健康維持に役立ちます。与える際は、ヘタを取り除き、流水でよく洗ってから、食べやすい大きさに切ってあげましょう。
体格に合わせた適量を守ることも大切です。初めて与える場合は、少量から始め、アレルギーや体調の変化がないか注意深く観察してください。シニア犬や子犬、持病のある犬には特に配慮が必要です。心配なときは、獣医師に相談しましょう。
いちごジャムなどの人間用加工品は避け、新鮮な生のいちごを季節の特別なおやつとして与えるのもおすすめです。
愛犬にいちごを与える際に不安を感じた飼い主さんは、当サイトで紹介している犬の食事や栄養に関する他の記事もぜひご覧ください。また、『chico』雑誌版もオススメですので、まずは内容だけでもチェックしてみてください。愛犬との食事の時間が、より健康で楽しいひとときになりますように。