りんごは犬に与えていい?今さら聞けない基本と注意点を完全網羅

chico vol.01 創刊号
愛犬のウェルネスをまじめに考える

「愛犬にりんごをあげても大丈夫?」と気になったことはありませんか?実は、りんごは与え方に気をつければとても優秀なおやつになります。ビタミンやミネラル、食物繊維といった、ワンちゃんの体に嬉しい栄養素がたっぷり詰まっています。さまざまなドッグフードにりんごが使われていることからも、その栄養価と安全性の高さがうかがえます。

ただし、りんごそのものが安全でも、「どう与えるか」によっては健康トラブルにつながるおそれもあります。だからこそ、正しい知識を持って与えることが大切です。

この記事では、りんごを愛犬に与えるときの基本情報から、注意したいポイントまでを詳しく解説します。安心してりんごを取り入れ、季節の美味しい果物を愛犬と一緒に楽しむためのヒントになれば幸いです。

目次

犬にりんごを与えても大丈夫?基本知識

「人間の食べ物をワンちゃんにあげてもいいのかな?」と迷ったことがある飼い主さんは多いのではないでしょうか。果物に限らず、私たちが普段食べている食材の中には、ワンちゃんにとって適さないものもあります。

まずは、りんごについての基本を一緒に確認していきましょう。

りんごは基本的に犬も食べられる食べ物

結論から言うと、りんごはワンちゃんにとって基本的に安全な果物です。有害な成分は含まれておらず、ビタミン、カリウム、ペクチン、ポリフェノールなど、健康をサポートしてくれる栄養素が豊富に含まれています。

ただし、りんごはあくまで「おやつ」として取り入れるのが基本。どれだけ体に良いとはいえ、主食の代わりに大量に与えてしまうと、栄養バランスが崩れるおそれがあります。

愛犬の健康を考えるなら、ドッグフードを中心にしっかり食べさせた上で、りんごは「ちょっとしたご褒美」や「食事に変化をつける工夫」として取り入れるのがおすすめです。

りんごの栄養素とその効果

ペクチン(水溶性食物繊維)は腸内環境を整え、便秘解消や免疫力アップに役立ちます。特にシニア犬や、日頃あまり運動をしないワンちゃんは便秘になりやすいため、適度なりんごの摂取がサポートになることもあるでしょう。

ポリフェノールには抗酸化作用があり、老化防止や筋肉強化、脂肪減少に効果があります。老化の進行をゆるやかにしたり、筋肉の維持や脂肪の蓄積を防いだりする効果も期待できます。毎日少しずつ取り入れることで、愛犬の健康寿命をサポートしてくれるかもしれません。

カリウムは、体内の余分な塩分を排出するのを助ける栄養素です。高血圧や腎臓への負担を軽減する効果があるとされており、腎機能が低下しやすい高齢犬にとっても重要な成分です。

愛犬の年齢や体調に合わせて、こうした栄養素を上手に取り入れていくことが、日々の健康維持に役立ちます。

犬の体質とアレルギーの可能性

すべてのワンちゃんにとってりんごが安心安全というわけではないことに注意しましょう。りんごを食べて下痢、嘔吐、かゆみなどのアレルギー症状を起こすワンちゃんもいます。こうしたアレルギー反応は、個体差によるもので、見た目だけではなかなか判断できません。

シラカバ、ヨモギ、ブタクサ、スギなどのアレルギーを持つワンちゃんは、りんごに対しても交差性アレルギー(異なるアレルゲンに対して類似の反応を示すこと)を起こすことがあります。花粉症の子は要注意です。

果物に含まれるたんぱく質の構造が花粉と似ていることで、体が誤って反応してしまうのです。花粉症の症状がある子には特に注意が必要です。

初めてりんごをあげるときは、ほんの少しから試してみてください。食べた後にいつもと違う様子が見られたら、すぐに中止して動物病院を受診しましょう。1回目は大丈夫でも、2回目、3回目で症状が出るケースもあるので、しばらくの間は様子をよく観察してあげることが大切です。

犬にりんごを与える際の注意点

りんごは栄養豊富な果物ですが、すべての部位がワンちゃんにとって安全というわけではありません。中には、健康に悪影響を与える部分も含まれています。

りんごを愛犬に与える際は、安全な部分と危険な部分をきちんと見分けて準備してあげることが大切です。

種や芯は絶対NG

まず、絶対に気をつけてほしいのが、りんごの種と芯です。りんごの種にはアミグダリンというシアン化合物が含まれており、消化の過程で有毒なシアン化水素が発生します。

摂取したのがほんの少しでも、体の小さなワンちゃんにとっては危険な量になる可能性があります。

種や芯、葉や茎を食べると、呼吸困難、けいれん、嘔吐、下痢などの中毒症状が現れることもあります。万が一、ワンちゃんがこれらの症状を示した場合は、すぐに獣医師の診察を受けましょう。

りんごをあげる前には、必ず丁寧に種と芯を取り除いて、安全に食べられる状態にしてください。愛犬を守るための大事なひと手間で、おいしくりんごを食べてもらいましょう。

りんごの皮の扱い方

りんごの皮自体はワンちゃんに与えても問題ありませんが、農薬やニスが付着している可能性があるため、よく洗う必要があります。オーガニックのりんごでも、念のため流水でしっかり洗いましょう。

皮にはポリフェノールなどの栄養がぎゅっと詰まっていますが、細かく刻んであげたほうが消化しやすくなります。

消化機能が未熟な子犬や、衰えがちなシニア犬の場合は、皮をむいて与えるのが安心です。そのときの体調や普段の様子を見ながら、愛犬に合った方法を選んであげましょう。

適切な量と頻度

どんなに体にいいものでも、やはり「適量」が大切です。与えすぎは消化不良や体重増加の原因になってしまいます。

体重3kgのチワワなら1日の総カロリーが約300kcalで、約20g(12kcal)の量が目安です。これはりんごのスライス2、3枚程度の量です。もちろん、その日のごはんや他のおやつとのバランスも考えて調整してください。

毎日ではなく、週に2〜3回くらいのペースでも十分です。おやつはちょっとした楽しみであって、ごはんの代わりにはならないので、あげすぎないように気をつけましょう。

犬へのりんごの正しい与え方

正しい方法を知っておけば、安全においしくりんごを食べさせることができます。何より大切なのは、愛犬の健康と幸せを思って行動する飼い主さんの気持ちです。

正しい知識があれば、りんごは愛犬にとって楽しみなおやつになってくれるでしょう。旬のりんごを取り入れて、愛犬と季節の味覚を一緒に楽しんでみてください。

安全な下準備の方法

りんごはよく洗い、皮に付着した農薬を落としましょう。可能であれば、オーガニックのりんごを選ぶとより安心です。

種と芯は丁寧に取り除いて、小さく切るか薄くスライスします。特に小型犬は喉に詰まらせやすいので、一口サイズにしてあげましょう。スライスする場合は5mm程度の厚さが適当です。

大型犬でも丸ごと飲み込んでしまうことがあるので、どんな子にもサイズ調整は忘れずに行ってください。

また、りんごは酸化しやすいので、切ったら早めに食べさせてあげましょう。

加工品を与える際の注意

市販のりんごジュースやジャムには、思った以上にたくさんの糖分や添加物が入っていることが多いので、どうしても与えたい場合は、ほんの少しだけにしてください。

できれば、無添加で手作りのもののほうが安心ですが、こちらも糖分過多に要注意です。砂糖を加えないなど、シンプルな調理法を心がけましょう。

なお、リンゴ酢はワンちゃんに与えても問題ありませんが、特別な健康効果があるわけではありません。無理に与える必要はないでしょう。

持病がある犬への配慮点

心臓病、腎臓病、糖尿病、胆泥症などの持病があるワンちゃん、またお薬を飲んでいる子には、りんごをあげる前に必ず獣医師に相談してください。

りんごにはカリウムや糖分が含まれていて、それが病気に悪影響を与える可能性があります。たとえば、糖尿病のワンちゃんにとっては糖分の摂取は避けたいものですし、腎臓の機能が低下している子にはカリウムが負担となる場合があります。

療法食を食べているワンちゃんも同様に注意が必要です。いつも診てもらっている獣医師に一度相談してから、与えるかどうかを判断しましょう。

まとめ

こうして見ると、りんごはただの果物でなく、栄養価が高く、与え方を工夫すればとても優秀なおやつになることがわかります。ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で、腸内環境の改善や免疫力のサポート、さらには老化防止の手助けまで期待できます。

ただし、どれだけ体に良いとはいえ、種や芯はワンちゃんにとって有害な部分なので、必ず取り除いてください。皮についても、農薬や汚れの除去を目的にしっかり洗い、必要に応じてむいてあげましょう。

アレルギーや持病がある子には、最初は少しだけ与えて様子を見ることをおすすめします。少しでも不安があれば、獣医師に相談してから食べさせましょう。特に糖尿病や肥満気味のワンちゃんは、りんごに含まれる糖分に注意が必要です。

愛犬の食事に関してお悩みの飼い主さんは、当サイトで紹介しているワンちゃんの食事や栄養に関する他の記事もぜひご覧ください。また『chico』雑誌版でも、愛犬との暮らしに役立つ情報を多数ご紹介しています。まずは内容だけでもチェックしてみてください。

おいしいりんごを安心して楽しむ時間が、ワンちゃんとの絆をより深める素敵なひとときになりますように。

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